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 当事者会ムジャンマ

平成18年11月19日

当事者会「ムジャンマ」として

ムジャンマ代表 谷 隆幸

皆さんこんにちは。当事者会ムジャンマ代表の谷 隆幸です。
ムジャンマはアラビア語で、「人の群れが集まる場所」という意味だそうです。
さて、今日は、盛んに議論されている障害者自立支援法について申し上げたいことがあります。
一部の皆さんは、とうにご存知でしょうが、この法律は、私のような精神障害者にとってとてつもなく厳しい、そしてややこしいものです。
私のような精神障害者は当然収入が好くないんです。一番多い2級の障害年金を受けている人で月6万ちょっとです。真面目な方は更にその中から家にいくばくかお金を入れています。少ない収入であえいでいらっしゃる方々がやっと少しずつ働けるようになってきて社会参加をなされているのです。なのにこの法律は逆行しています。
私は今、咲笑に在籍しています。だから一番身近で納得のいかないのは、ピアヘルパーとして働いてるヘルパーさん達からも施設利用料が10月から徴収されている事です。ピアヘルパーの皆さんも決して元気がいっぱいというばかりじゃありません。仕事時間もまちまちです。なのに一律一割負担なのです。一割負担と聞くと皆さん賃金の一割とお思いでしょうが、アパラン・咲笑に「就労継続支援事業費」の名目で職員の人件費等の維持運営費として、ヘルパーさん一人あたり一日4600円の一割なのです。咲笑には行政から460円を引いた4140円が事業費として支払われるのです。また、ピアヘルパーさんは、最低賃金が適用されるので、例えば9月の賃金をみますと、1000円もらって460円払う人、58470円もらって12420円払う人、11475円もらって4600円を支払う人など、もう計算をしてお分かりの人もいらっしゃるでしょう。 
薬を飲みながら生活している私達は、長時間継続の労働が苦手です。ピアヘルパーさんも一日の短時間に、質の高い労働だから働けるといえます。一日に2ヶ所まわる一部のピアヘルパーさんなんかふうふう言ってます。
その上、「就労支援」と言いながら病気の人を受け入れてくれる民間の事業所なんてほとんどいないでしょう。「支援」というより苦しめているのが実情です。
今年の4月からグループホームやヘルパー利用者にも利用料がかかるようになりました。利用料には、その方の資産により負担の上限額が設定されています。できるだけ自分ができることは自分でしようと思っている私達には、上限を超えて利用している人はいません。最低必要なヘルパー利用をされていますが、利用料のかかるようになった4月からは、3月の利用時間より、毎回1時間減らした人、半分の回数にした人達がおられます。生活保護世帯以外は何らかの負担がでてきます。
また、各授産施設に聞いてみますと、池田作業所やウォンバットとなると、毎回の賃金が200円から1200円位ですが、その中460円を支払うことになります。ましてやみんとはうすなど平均賃金が約402円、つまり1日460円の利用料×1ヶ月の労働日数の利用料が月数ですから非常に負担が重い、通所する多くの人にとって、賃金以上の利用者負担金となります。そのために各授産施設は、5年間の経過措置があるので、新法への移行はしていません。
高賃金を得られる労働を探す努力を施設に求める事も大切ですが、利用料はせめて賃金の一割にはならないでしょうか?所得税10%は安くないと思います。労働支援といいながら、労働意欲を削ぐものです。
更に施設長の皆さんに聞きますと、これからの補助金は個別給付で利用人数分しか給付金がおりない、病状に波のある障害の為1日当たりの利用者数が不安定、ゆえに補助金金額が安定していないので施設運営費の見込みがたてられない、安定した施設運営が困難となる、家賃負担、駐車場負担ができなくなる。知的障害者施設などは大概自分の土地、建物だから家賃負担がいらない。でも精神障害者施設は大半賃貸物件が多いので必要経費がかさむ等々の事情があるそうです。
当事者は決して好きで怠けている訳ではありません。むしろ性格は私も含めて真面目な人が多いのです。働いている人達が「意欲を無くすことなく満足して働ける社会」が当たり前のことではないでしょうか?そういった人たちの心を踏みにじる政策があって許されるのでしょうか?
「あめとムチ」という言葉があります。4年前、社会福祉法人化をしたら安泰といっていた政府の手の平を返したような裏切り方には本当に腹が立ちます。法人化するのだけでも決して楽だった訳ではありません。「精神病」とは心が「傷ついている人」とうい前提を全然理解されていません。これ以上傷つく人が増えて自殺する人が増えたら一体どうするのでしょうか?
各施設長が言っておられました。ぜひとも移行期間中にこの法案がつぶれて欲しい。じゃなかったらノドから手が出る程寄付金が欲しい。今の政府は間違っています。今日ご来場いただいた皆さんにも、ぜひこの現状を理解して頂けることを願って止みません。
以上で私のコメントと致します。ご静聴ありがとうございました。

 

 

―『当事者会「ムジャンマ」の発足について 前会長 中島明彦』―

 

当事者会「ムジャンマ」の始まりは五月山公園での6〜7人で行った桜の花見がきっかけでした。私がタコ焼きを人数分買って来てみんなで食べました。これからもみんなで企画して遊びに行ったり、食事をしたいという意見がたくさんありました。精神障害者地域活動支援センターの名前を募集され、「咲笑」という名前に決まった時に、当事者会の名前が「ムジャンマ」と決まりました。これは、アラビア語で「いろんな人、物が集まる場所」という意味で職員の逵さんからに教えて頂きました。

初めて行なったミーティングでは、花見、ヒロコーヒー、酒造会社の工場見学などのたくさんのイベントが候補に挙がり、最初はヒロコーヒーへ食事に行きました。毎年、候補に挙がったイベントを行い、みなさんで楽しいひと時を過ごしました。発足した年の年末には、初めての忘年会を行いました。多くの会員の方に参加して頂きました。今まであまり話を交わされたことのない方とも談笑され、親睦を深めました。

発足当時は、会の運営費がほとんどありませんでしたが、職員の方から賛助会費という形で資金的援助を受けました。その後は、会員の方から大阪府精神障害者相談員の報酬などを拠出して頂きました。さらには地域の人から援助を頂きたアルミ缶回収のお金のなども運営に使っています。色々な方からご支援を頂き、会が運営できていることをとても感謝しています。本当にありがとうございます。

企画行事はご支援頂いたお金やアルミ缶回収で得たお金をもとに、また会員の方からもその都度、会費を頂いて開催します。梅や桜の花見など自然に触れ親しむ会、ヒロコーヒーでのお茶会や忘年会などを行っています。一方、対外的には当事者として高校などの学校に出向いて体験発表を行うなど、精神障害者に対する理解を深めて頂いています。また、毎年秋に開催される「咲笑まつり」では、相談員の一人として参加し、同じ悩みを持つ方に寄り添い相談を受けています。そのことが相談者の方の一助になれば幸いだと思っています。しかし、今年(令和2年)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため相談会が中止となったことはとても残念です。

(令和2年10月28日)




 

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