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病気体験談集

私の体験談

U.A.

私が自分の病気がボーダーライン・境界例人格障害と知ったのはとても遅いものでした。はじめて行った病院の21歳から30歳過ぎるまで知りませんでした。今の病院にかかるまで長く関わった川西の病院では、「人格発達障害」としか教えてくれませんでした。今思えばそれはすぐに病気のことを調べまわっては余計に悪化させる私の悪い癖を知って、先生や心理士さん、ケースワーカーさんがわざと隠していたのだと思います。
30歳過ぎて結婚し、池田市に住み、私はある日異常に興奮し、「入院する!」とわめきちらしました。そこで、某病院の面談を受けたとき、主治医からの紹介状をたまたま隣の夫が見て、そこに「境界例人格発達障害の疑いあり」と書かれてあったのです。結局入院はしなかったのですが・・・。
大きな転換期になったのは、ある日また異常に興奮し、長年の友達と電話で話している時、私が逆ギレして怒りちらし、その友達を永遠に失ったことです。後で冷静になって、なんてことをしてしまったんだと、そして、あの時の「境界例人格障害の疑い」という文字が重くのしかかってきました。私は咲笑のスタッフの逵さんに相談し、ボーダーの権威の平井クリニックに出会うことになります。
はじめにカウンセリングを受ける前に、平井先生との審査期間というものがありました。それは6ヶ月間自傷他害をしなければカウンセリングができるというものでした。私はこの約束を自傷の方で一度破り、一度は落第したのですが、もう一度審査期間にチャレンジし、今度は自傷他害せず、カウンセリングを受けることになりました。
ここで、ボーダーラインの特徴というのを少しお話します。まず、何事においても物事を短絡的に、自己中心的に考えてしまうことです。世の中はグレーゾーンでできているのに、むりやり黒か白かで他人を分け、そのことで苦しむ、100点か0点しか自己採点がなく、100点を取れなければ、すぐに自殺を企てます。また、周りの人達の目をものすごく気にします。自分が心の中で(この人は私のことを嫌いだろう)と思うと、それを投影して、嫌いとしてしまうのです。そのため、ボーダーラインには「安定」がありません。常にむなしく、焦燥感にとらわれやすい。まだまだ沢山ありますが、この辺にしておきます。平井先生が言うには、人は誰しもボーダー的だと言います。ただその度合いが強いと"病気"とされるのです。
カウンセリングを受けてみて解けた謎があります。私は料理が長年にわたりできませんでした。台所に立つと、パニック障害と過呼吸が起こり、頭はパニック、呼吸ができなくなって、全く料理が手につかなくなるのです。カウンセラーと話していくうちに、台所に立つと自分の父親の怒鳴り声が蘇ってくるというのがでてきました。それは、夫がたいして怒ってもいないのに、ものすごい恐怖心にとらわれる、ほとんど病的なものでした。夫が優しく料理を教えてくれているのにです。夫が怖いのです。そして、私はハッとしました。
「そういえば、うちのお父さんはひどいアルコール依存症で、毎晩夜中の2時に帰ってきてはガラスを割って、家庭内暴力をふるい、お母さんと包丁を突きつけあっての長年にわたる喧嘩のバトルの場がいつも台所だった。私にとって台所は、戦場だったのだ。」と。
その頃私はガラスの割れるイメージと、指が包丁で切られていくイメージにもひどく悩まされていました。
カウンセリングを受けて変わったこと。
私がカウンセリングを受けてから、すぐ仲のいい咲笑のメンバーさんが「アキちゃん変わった。落ち着いた。」と言うようになりました。他にも何人かに言われました。私自身はあまりわからないのですが、人への心境と今では苦痛なく料理がぼちぼちできるようになったことが大きな変化です。人に対しては、前はその人の悪いところばかりみては、腹を立てていたけれど、今は結局人を変えることなどできない、自分が変わる方が早いと思っています。そうすると、ああ、この人にもこんないいところがあったのかと意外な一面が知れたり、それまで話しかけづらかった人とも仲良くできるようになったり、上手く距離をとれるようになりました。また、一番びっくりしたのが、ある日私は急に施設長の野田さんが私のことをこの頃理解してくれている、私に対して優しくなったのは平井先生の本を読んだせいかな?と思って、こう聞いてみました。
「野田さん、私が変わったの?それとも野田さんが変わったの?」
「あなたが変わったのよ。悪いけどある程度の知識なら初めからあったわよ。」
驚きでした。
これからの私はカウンセリングを受けてこれからも自己と対話していき、家庭を居心地の良い場所にしていき、夫と二人で協力して生きていきたい。そして、終わりのない自己成長物語に取り組み続けていきたい。また、咲笑ともよりよく繋がっていきたい。
私が変われたのは私自身の力でもあるけれど、平井先生やカウンセラーの串崎先生、野田さん初め咲笑のスタッフ、メンバーさん、また、最も感謝するのは苦しい家計から保険適用外のカウンセリングの料金を毎回出してくれて、治療に協力してくれている夫です。本当にありがとう。
最後に私からのメッセージ。
もしも今あなたが周りの人のことで、振り回されたり、思い通りにいかないと悩んでいるなら、こう自分に問いかけてほしい。
"人を変えようとするよりも自分が変わる方がはるかにスピードが速い。"と。
以上です。

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